TOP業界人インタビュー >カリスマパティシエの部屋:六名 泰子さん

Room No.021  パティスリー シャトン  オーナーパティシエール  六名 泰子さん


履歴書

19**年 埼玉県秩父出身
1985年 大阪あべの辻調理師学校卒業
1985年 ル・プロッテ入社
1986年 アヴィニヨン洋菓子店入社
1987年 資生堂パーラー入社
1998年 1年の準備期間を経て『パティスリー・シャトン』オープン
著書、共著書に、『ホームメイドのチーズケーキ』(成美堂出版)と『マーシュとルコラのお料理ブック/金曜日のお菓子作り』(幻冬舎)がある。

 

 


インタビュー

アイコンの説明:   六名 泰子シェフ   スイーツ大好き委員会

よろしくお願いします。まずお店に伺ってびっくりしたのが立地。パティスリーで2階というのはとても珍しいのでは?
六名シェフ 皆さんに言われますね。やはりケーキを買ってくださるお客様は女性が圧倒的に多いので、女子大などが近くにある場所を選び、色々と回った結果、落ち着いたのがここだったのです。路面店と違い、ふらりと店をのぞいて立ち寄ってくださるお客様は期待できませんし、いろいろな面で不利なことは多いと思います。でも、私の店のケーキを買おうと訪れてくれる方、リピーターの方に恵まれ、お客様と密度の濃い関係を作れる店という点では、メリットも多かったと思います。
確かにとても静かで落ち着いているので、ゆっくりしたいときに訪れたいと感じました。
六名シェフ 今では、最初思っていた女子大生の方より、近くにお住まいの奥様方のご来店が圧倒的に多く、また、私が猫好きでお店にも「シャトン=子猫」と名前をつけたこともあり、猫好きの方、あと紅茶好きの方も多く見えてくださいます。
なるほど、それでお店のロゴマークはもとより、猫型のかわいいクッキーがあったのですね。壁にもたくさん、素敵な猫の絵が飾られていますがどなたの描かれたものですか?
六名シェフ 吉沢深雪さんです。お店をオープンするにあたり、店内に飾る猫の絵を探していて。彼女の絵は昔から大好きだったのですが、改めてお店のイメージにぴったりと思い、飾らせてもらっています。実は、この絵がきっかけで吉沢さんがお店に来てくださり、懇意になってレシピ本『金曜日のお菓子作り』のお仕事をさせて頂きました。
猫つながりの素敵な出会いですね。それが1冊のコラボ本として形になる。すごいですね!!あと、シェフはチーズケーキの本も出されていますね?
六名シェフ ええ。こちらは出版社の方からご依頼いただいて。でも、撮影は大変でした。営業が終ってからレシピを考えて、撮影は定休日にやりますから、前日の営業終了後から仕込みをして。ほぼ1ヶ月寝られませんでした。
うわー!!やはりかなり過酷なのですね。体力勝負と話には聞いていましたが・・・。話は変わってしまいますが、お店のドリンクメニュー、特に紅茶はフレーバーティーも入れると18種類。すごく充実していますね!!紅茶好きの方もよく来られると先程伺いましたが・・・?
六名シェフ お店の準備期間中に、ティーコーディネーターをとったのです。それで、せっかくなら色々お出ししたいと思って・・・。茶葉もお店でお分けしているのですが、プレゼントにお菓子と一緒に求められる方が多いですね。
どおりで。パティスリーでカフェや喫茶店よりもドリンクメニューが充実しているところは見たことがありません。では、お菓子に合う紅茶もアドバイスいただけるのですか?
六名シェフ もちろん、おたずねいただければ・・・。ご質問くださる方は紅茶に興味を持たれている方が多いので、つい話し込んでしまいますね。サロンや、売り場での日々のコミュニケーションが、私の知らないさまざまな情報をもたらしてくれるので、とてもよい刺激になり、感謝しています。
楽しそう!!それに先程ケーキセットを注文されていた方に、注文したケーキ以外のお菓子がついていたようですが・・・?
六名シェフ あっ、気がつかれましたか?少量なのですが、端数が出てしまったお菓子などを添えてお出ししているのです。違う味も試していただいて、他のお菓子にも興味を持っていただけたらと思って。
女性はこういうサービスにたまらなく弱い!!少なくとも私はメロメロですね。
六名シェフ そういっていただけるとうれしいです。お店もオープンして9年目になりますが、ずっと女性スタッフだけで頑張っています。女性だからこその優しさを、店全体の雰囲気やちょっとしたサービスから感じていただければと思っているのです。
とてもよく伝わってきます。最近は飲食店でも増えてきましたが、バックを置くためのいすを用意している点などは、やはり女性ならではだと思います。でも、男性スタッフを入れようとされたことは一度もないのですか?
六名シェフ 考えませんでしたね!!最近はかわいい男性スタッフに入ってもらうのもいいかな?と思うこともありますが(笑)、私の修行時代、周りにいた男性スタッフは男らしい方が多く、私の目指すお店のイメージとは違うと思っていましたので。
なるほど。修行時代のお話が出たところで、シェフがパティシエールを目指したきっかけを教えていただけますか?
六名シェフ もともとお菓子作りが好きだったのですが、大きなきっかけは叔母ですね。私の叔母はとても料理が上手で、遊びに行くと朝食には手作りのパン、おやつには手作りのお菓子が出てくるのです。憧れましたね!私の従兄弟にあたる叔母の子供は男の子だったので、私が手伝うのをとても喜んでくれて。私も手伝いながらどんどんお菓子作りに引き込まれていったのです。特に形のない材料から出来上がるお菓子には驚きもありましたから。
お菓子作りが“好き”ということは、甘い物もお好きだったのですね。本格的に作り出したのはいつ頃からですか?
六名シェフ ホットケーキやおやつの素を使ったプリンやゼリー作りは、小学校3年くらいからやっていましたが、本格的にレシピ本を買って挑戦し始めたのは中学校に入ってからです。最初に買ったレシピ本はマルメゾンの大山シェフの物でした。もちろん食べるのは今でも大好きです。色々食べに行きたいのですが、あまり時間がなくて・・・。
最初のレシピ本が大山シェフとは本格的ですね。普通は簡単なレシピ満載のHOW TO本からはじめる方がほとんどかと思いますが、さすが・・・。
六名シェフ いえ、別に深い理由はなくて。本を見てきれいだな、食べたいなと思ったので購入したのです。オーブンもお年玉をはたいて購入し、雑誌に掲載されている物など色々作りましたね。
オーブンをご自身で買うとは、ものすごい熱中ぶりですね。ということは、中学の頃から夢はパティシエールだったのですね?
六名シェフ いえ、それがそうでもなくて。はっきり決めたのは高校になってから。それまではスケート選手、イラストレーター、地元で発掘調査が盛んだったこともあり、考古学者にも憧れていました。家は結構厳しく、父は専門職である調理の世界に入ることに大反対でしたから。
反対されていたのでは、調理師学校に進路を決めるのは大変だったのでは?
六名シェフ そうですね。母には伝えていたのですが、父には内緒で願書を出しました。怒りましたね、さすがに。ですから、最低限の授業料と寮費は出してもらいましたが、後の費用はすべてバイトをして支払いました。私は製菓コースも追加していたので、その授業料や教科書代、その他もろもろ、1年でしたが、かなり大変でした。
シェフは、大阪の、それも製菓学校ではない学校に進まれていますよね?大変な思いをしてまでなぜ?
六名シェフ やはり行くからには自分自身が納得できる学校に行きたいと思いまして。資料を各学校から取り寄せて、大阪あべの辻調理師専門学校に決めました。製菓学校もありましたが、色んな知識を吸収したかったので、すべてを学べるコースを選択しました。あと、その頃ちょうど大好きだった『料理天国』というTV番組が放送されていて、そこに出てくる講師がみんな、ここの先生だったのも魅力でしたね。
なるほど。でも、授業を受けながらバイトではかなり過酷だったのでは?
六名シェフ その点はラッキーでした。バイト先が寮だったので通う時間がかからなかったので。ただ、皆より早く5時には起きて朝食の準備をして、帰りも授業終了後すぐに帰って夕食の準備。片付けの後、部屋に戻って授業の復習でしたから、ほとんど寝る間がありませんでした。なにしろ生徒数が約2000人と多く、先生もものすごい速さで授業を進めるのでついていくのが大変でした。
生徒数多いですね、びっくりです。現在、製菓学校は女性が圧倒的に多いと聞いていますが、シェフのころはどうでしたか?また、調理師学校の様子など詳しく知らないので興味津々なのですが、どういった感じなのですか?
六名シェフ そうですね・・・私の頃の男女比率は7:3くらいでしょうか?あと、一番大変だったのは席取り。先程も言いましたが、人数が多いのでいい席でしっかり講義を受けようと思うと早く行って席取りをしないといけない。生徒数も多いので仲間と協力して前の席を確保しました。出入り口も前だったので、次の授業にも響いてくるのです。1時間目の席取りが・・・。
さすが、勉強意欲の強い方たちの集団。実習でもそうなのですか?
六名シェフ いえ、実習は先生が班分けしていましたし、人数も講義より少ない単位でやりますから、問題はなかったです。見やすいように教室も工夫されていましたから。
なるほど。あと気になったのですが、女性の同級生の方とはまだ交流があったりしますか?
六名シェフ 2人いますね。たまに食べにきてくれるので思い出話に花をさかせます。どちらも今は職人の世界をやめています。結婚されましたので・・・。
やはり、まだまだ女性には厳しい世界なのですね!
六名シェフ 続けるのは難しいかもしれません。いろいろな意味で大変ですから・・・。パティシエールを目指している皆さんには、ぜひ、頑張ってもらいたいですね。
少し話はずれますが、シェフは男性シェフと女性シェフの違いってやはり感じられますか?
六名シェフ それはありますね。それぞれに長所・短所はあると思いますし、個人差もありますが、相対的に感じるのは、男性は瞬発力がすごい。集中すると仕事がものすごく早いのです。一方女性は仕事が丁寧で細かい。男性は仕事として淡々とこなすのに対し、女性は1つ1つよりよくなるように考えながらこなしているように思います。スタッフが女性だけなので、たまにこの瞬発力・集中力が欲しいと感じることはありますね(笑)。
では、最後にシェフが今注目している食材などがあれば教えてください。
六名シェフ そうですね、ハーブと和素材でしょうか?毎月1つ新作のケーキを出すのですが、その時に、色々な旬の素材とハーブ類をよく合わせます。3月はオリーブオイルとオリーブの実にディルを合わせましたし、4月は桜とベリー類ですが、5月はライムとタイムを合わせたケーキを考えています。和素材はゆず、さつまいも、栗、ゴマ、伊予柑などを使っていますが、よく使うのは風味のよい、キビ糖や黒砂糖などの砂糖です。
オリーブのケーキって不思議でしたが、チョコレートとの相性も抜群で、入っているディルのお陰で後味さっぱり。新しい体験でした。ケーキ類は新作、定番などどれくらいの割合で置いているのですか?
六名シェフ 約20種類の生菓子を随時準備していますが、半分が定番。半分が季節商品と新作になっています。秋冬には国産栗を使ったモンブランがよく出ますね。
モンブラン、おいしそう・・・。それでは最後に展望などをお聞かせください。
六名シェフ そうですね。毎日のことで精一杯で、何かをとは考えていませんが、気づいたことは改良しながら、よりお客様に和んでいただける店にしていきたいと思っています。
ありがとうございます。では、次回ご登場いただくシェフをご紹介いただけますか?
六名シェフ では、『ル・クール・ピュー』の鈴木芳男シェフをご紹介します。鈴木シェフには5年ほどお世話になり、色々教えていただきました。
今後のご活躍期待しております。ありがとうございました。
六名シェフから鈴木シェフへのメッセージ
これからもその強力な個性を武器にご活躍ください。
パティスリー シャトン
おすすめスイーツ

2006/3現在
正面から時計回りに、
サクサクパイの中心にカスタードがたっぷり詰まった人気の“ミルフィーユ(340円)
アニスで風味付けしたシロップを染み込ませたチョコレートケーキ、“ショコラ・アニス(320円)
春は梅のシロップ漬け、秋冬は渋皮栗の甘露煮が入る抹茶ムース“テ・ベール(350円)
年間を通して発売されるガトーフレーズをはじめ、丁寧に仕上げられたケーキが並ぶ。
常連客が楽しみにしている毎月の新作や、季節のモンブランも目が離せない。
人気のクラシック・ショコラはプレゼントにも最適。
焼き色の美しいタルト類もぜひ試したい1品。
売切れてしまうことも多い焼き菓子類。プレゼントなどの場合は予約がお勧め。
甘いものから塩味までバランスのとれたラインナップの焼き菓子類。
店名シャトン(子猫)型のクッキーは子供に大人気。
プレゼントに喜ばれている紅茶は、ティーコーディネーターの資格を持つシェフ自ら選んだ物。
手軽においしいケーキが家庭でも作れるように工夫された著書本。
店内は、吉沢深雪さんの猫の絵がたくさん飾られている。
プレゼントにメッセージを添えられるように用意されたカード。さりげない心配りがうれしい。
ほのぼのと温かい雰囲気に包まれた店内は、シェフの細やかな気配りがあふれている。
外光が気持ちのよいサロンは全部で8席。つい長居してしまう居心地の良さ。

ショップ情報

パティスリー シャトン

  • TEL:03-3309-8022
  • 住所:東京都調布市仙川町1-14-54 第59東京ビル2F
  • 営業時間:11:00~20:00
  • 定休日:水曜日・火曜不定休(祝日の場合は営業)

アメリカン・ナッツカフェ

メルマガ登録・解除