TOP業界人インタビュー >カリスマパティシエの部屋:岡村 尚之さん

Room No.020  パティスリー スリール  オーナーパティシエ 岡村 尚之さん


履歴書

1963年 新潟県田上町出身
1981年 ルノートル入社
1985年~ 都内洋菓子店・ホテルなどで修行
1987年 資生堂パーラー入社
1988年~ この間数回にわたり渡仏。『ジャンポール・エヴァン』、『ホテル・ド・クリヨン』、『エリック・サゲス』などの名店で修行
1990年 資生堂パーラー退社
1993年 資生堂パーラー再入社
1996年 資生堂パーラー製菓長就任
1999年 レストラン・ロオジエ 製菓長就任
2005年5月5日 パティスリースリールオープン
この間に、ジャパンケーキショー金賞、マンダリンナポレオン世界大会日本代表選考会第2位など、その他受賞歴多数

 

 


インタビュー

アイコンの説明:   岡村 尚之シェフ   スイーツ大好き委員会

よろしくお願いいたします。雑誌などで拝見していましたが、とても広くて素敵なお店ですね。
岡村シェフ ありがとうございます。そんなに広くはないのですよ。奥に向かって狭くなっていますし、余分な物が何もないので広く感じるのかもしれませんね。
すっきりしていてとても見やすいです。それに前の歩道や道路もこのあたりは広くて、車でも便利そう。
岡村シェフ それは、この場所を選んだ大きな理由の1つなのです。ここは駅から少し離れていますし、決して交通の便がいい場所ではありません。かといって駐車場を完備したお店を設けるのは都心では難しい・・・。だからせめて少しの間ですが、歩道に車を乗り上げても十分にゆとりがある場所にしたかったのです。日頃お見えになるお客様の多くは女性ですので。
うれしい心遣いですね。見たところ近くにコインパーキングも3件あるので、中でいただくときも安心ですね。
岡村シェフ そうですね。それと遠方から来てくださるお客様にとって生菓子を持ち帰るのは難しいですが、ぜひ味わっていただきたいのでイートインスペースも設けました・・・。
この店の居心地の良さは、シェフの細かい心配りが随所にあるからなのですね。納得です。それと入ってきたときから気になっていたのですが、常温用の大きなケースも珍しいですね。
岡村シェフ そうですね。確かに珍しいかもしれません。多くのお店では、焼き立てのタルトやヴィエノワズリをショーケースの上においていますが、お客様とやり取りする際に危ないかな?と思い、専用の場所を作りました。今後はまだはじめられていないヴィエノワズリなども並べたいと思っています。
こちらも、シェフのお客様に対する気配りのあらわれだったのですね。それにヴィエノワズリも楽しみです。話は変わりますが、シェフは新潟出身とのことですが・・・。
岡村シェフ 生まれは新潟ですが、小さな頃から家の都合で池袋の近くに住んでいました。
なるほど。それで“ルノートル”なのですね。新潟と結びつかなくて・・・。でも、シェフが“ルノートル”に入ろうとしたきっかけは何だったのですか?
岡村シェフ 通学時にお店の前をよく通っていまして、世の中にはこんなにきれいな食べ物があるのかと感心してみていたわけです。それまでのケーキのイメージは、“不二家”など庶民的な物でしたので、驚きも大きかった。そのうちに興味が大きくなってケーキを購入して食べたのですが、そのおいしさに感激して。きれいなだけでなくおいしい。すごいなぁって単純に思ったのです。そこからこんなおいしい物を作るガストン・ルノートル氏ってどんな人だろうと興味を持ち、調べるうちに、彼に惹かれ“ルノートル”で働きたいと強く思うようになったのです。
では、昔からシェフは甘い物がお好きだったのですね?
岡村シェフ 甘い物に限らず、食べることに興味はありましたね。職業としても『食』に従事すれば食い逸れることもないし、一石二鳥かと思いまして(笑)。ただ、その当時“ルノートル”はとても話題の店でしたし、その道を目指す人の多くが働きたいと門を叩いていました。何のコネのなかった私も希望する製菓部門には入れず、1年経ったらと移動させると言われ、はじめは全く違う社食のウエイターからスタートしました。
その間、さぞヤキモキされたでしょうね。
岡村シェフ そうですね。1年経っても部署を変えてくれる気配がないので、上層部に直談判に行ってしまいました。コネのない私には、それしか方法がなくて・・・。
それで・・・。
岡村シェフ たまたまその時に1人欠員が出て、無事に部署移動できました。やっと作る現場に入ることが出来たと思いましたが、欠員の出た部署はアイスクリーム部門。今になって振り返るといい経験をさせてもらったと思いますが、その当時は早くケーキが作りたくて製菓部門に1日も早く行きたいと願っていましたね!!
そうですよね!!それにしてもアイスクリーム作りが洋菓子作りにとても役立つ?とはあまり想像がつかないのですが・・・。
岡村シェフ アイスクリームの基本材料は、ケーキの基本材料と同じなのです。ですが衛生面での管理は、ケーキ作りに比べると、はるかに厳しい。はじめにこの部署に配属されたことで、衛生面での管理がしっかり出来るようになったと思います。
なるほど。では、いずれこのお店でもアイスクリームを?
岡村シェフ 出来ればいいのですが、なかなか難しいですね。テイクアウトのアイスクリームを作る場合は専用の部屋が必要なので。個人店でアイスクリーム販売が少ないのは場所の問題も多いと思います。
知りませんでした。ルノートルでの修行後、シェフは個人店やホテルなどさまざまな場所で経験を積まれているとのことですが?
岡村シェフ ええ、色々な現場を見ておきたかったのです。個人店、大型店舗、ホテルと、ケーキを作ることに変わりはなくても、そのやり方はそれぞれ大きく異なり、人によって向き不向きがあると思ったので。
色々と経験なさった結果、資生堂パーラーに落ち着かれた・・・?
岡村シェフ 落ち着いたというか、ちょうど知人の紹介で資生堂パーラーへの話があった際に、フランスでMOFを取得しているジャック・ボリー氏がエグゼクティブ・シェフに就任されることが決まっていて。興味もありましたので。
ボリー氏からはどんな影響を受けられましたか?
岡村シェフ 長い間、彼のもとで仕事をしましたが、彼には「いい考え方」を教えてもらったと思います。ボリー氏は料理人ですから、お菓子作りにも料理の塩、胡椒の感覚を持っています。パティスリーのみの経験だと、上の人からの支持や指導がない限り、配合や作り方を変えることはありませんし、すれば逆に怒られます。しかし料理は素材ありきなので、その素材に合わせて塩、胡椒など味つけを変えます。つまり素材に敏感に反応して味覚を頼りに調整するのです。また資生堂パーラーに入った当初は直属の上司であった西原さんに、色々なことを教えてもらいました。
その考え方は資生堂パーラーでもロオジエでも同じでしたか?
岡村シェフ そうですね。ただ、彼のブランドは“レストラン・ロオジエ”がメインですから、こちらの製菓長に招いてもらってからの方が、より彼の考え方、食べてきた物などを聞くことができ、勉強になりました。フランスのレストランでおいしい食事は食べることができても、フランス人のおばあちゃんの味やお母さんの味はなかなか体験できませんから。
そういえば、シェフは長期ではなく数回に分けて渡仏されていますね。
岡村シェフ はい。途中、研修のような形で行ったこともありますし、退職して行ったこともありますが、1回の期間は短いですね。
それには理由がおありですか?
岡村シェフ 私の場合、長期間で行くと生活でアップアップしてしまい、見聞を広めたり、おいしい物を食べに行ったりするゆとりがなくなると感じたからです。20代の若い頃にいい物をたくさん食べて、舌を鍛えるのはその後の大きな財産になります。私も多くを食べ物につぎ込みました。
30代を過ぎてからのほうが物の見方や考え方は深くなると思いますが、それまでに食べて経験している量が多いほうが引き出しも増えるので、比較したり、検討できる幅が大きくなると実感しています。職人を目指す若い人にはおいしい物を色々食べてもらいたいと思いますね。
なるほど。若い頃の投資はあとで豊かな経験に生まれ変わるのですね。シェフがこれは!!と思った印象深いお料理を教えてもらえますか?
岡村シェフ そうですねブージバルにあったレストランで、ジャン・ドラ・ベーニュ氏が作る“テリーヌ・ドゥ・フォワグラ”は印象に残っています。1ツ星のレストランで今はなくなってしまいましたが、3ツ星よりおいしかったです。
それと色々食べて分かったのが、サラダがおいしいと他の料理もおいしいと言うこと。これはボリー氏も同じことを言ってましたね。「シンプルなサラダをおいしく作れる料理人は、素材を見極める力あり、しっかりした味の感覚を持っているいい料理人だ」と。その話の流れで、私は「いいパティシエは?」と聞いたところ、「それはタルトを上手に焼ける人だ」と答えが返ってきました。
タルト?
岡村シェフ タルトも土台はシンプルな材料で作られていますが、作り方で大きな差が出ますし、上にのせる素材とのバランスも大切です。いい素材を使い、ていねいに作らないといけないということです。
奥が深いですね。それでタルト類が充実しているのですね。
岡村シェフ 意識はしています。タルトをおいしく作る、その初心を忘れないために、お店のマークをタルト型にし、「心を込めて作ったお菓子を食べて微笑んで」という名前をしました。スリールの意味は“ほほえみ”なんです。
なるほど。よく分かりました。これまでのお話を聞いて、シェフの素材へのこだわりを感じましたが、特に注目している素材などはありますか?
岡村シェフ そうですね。フルーツだとりんごですね。特に“フジりんご”が好きですね。お菓子では紅玉という人も多いですが、私はフジ派。他にはチョコレートでしょうか?ブランドは色々ですが味、なめらかさなどからフランス産を愛用しています。
では、お店の今後の展望をお教えいただけますか?
岡村シェフ そうですね。先程も少し話しましたが、ヴィエノワズリをはじめたいのと、お客様がいらしたときに選ぶ楽しみを感じてもらえる商品作りが今の目標ですね。ロオジエ時代にはグランメゾンであるという理由で、おいしくても出せなかった物がありましたから。お母さんやおばあちゃんの味のような懐かしい味を取り入れながら、自分の感性を入れた、皆さんに喜ばれる物を作りたいです。
ありがとうございました。では、最後に次回ご登場くださるシェフをご紹介いただけますか?
岡村シェフ 資生堂パーラーのとき、私のもとで頑張ってくれた“パティスリーシャトン”の六名泰子さんを紹介します。
初の女性シェフ、お目にかかるのが楽しみです。ありがとうございました。
岡村シェフから六名シェフへのメッセージ
いままで通り自分の道を歩んでください。
パティスリー スリール
おすすめスイーツ

2006/2現在
正面から時計回りに、
木の葉のように薄く焼き上げた大人気のりんごタルト、“タルト フィーヌ ポンム(380円)
チーズの風味豊かに仕上げたフルーツ入りのレアチーズケーキ、“フロマージュ・クリュ(380円)
断面の苺が鮮やかなフランス風苺ショート、“フレジエ(480円)
フランス産チョコレートをたっぷり使ったクリーミーなチョコレートタルト、“タルト・ショコラ(380円)

色とりどりの美しいケーキがショーケース一面に並ぶ。
モンブラン、ショートケーキ、プリンなどの定番ケーキも外せません。
シェフが大切にしているタルトの数々は必ず味わいたい。
常温のショーケースには季節によって4種類ほどの商品が並ぶ。冬の時期はシェフお気に入りのフジりんごや栗を使った商品が中心。
お土産にもってこいの華やかなホールのタルト。
シェフ愛用のフランス産チョコを使用したガトーショコラ。カットもある。
一味違う組み合わせのフィナンシェ類。思わず迷ってしまう。
焼き菓子類も充実。地名の五本木にちなんだサブレも・・・。
シェフお勧めの焼き菓子“バトン”は3種類。
気軽に楽しめるチョコレート類も充実。
詰め合わせも小さめから大きめまで充実。もちろん自分の好みの物を詰め合わせることも可能。
イートインスペースは全部で6席。窓辺に向かうここは特等席かも!?

ショップ情報

パティスリー スリール

  • TEL:03-3715-5470
  • 住所:東京都目黒区五本木2-40-8
  • 営業時間:10:00~20:30
  • 定休日:水曜日(祝日の場合は変動あり)

アメリカン・ナッツカフェ

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