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Room No.018  サロン・ドゥ・シェフ タケエ  オーナーパティシエ 武江 章さん


履歴書

1957年 東京都目黒区生まれ
1975年 東京製菓学校入学
1977年 『ドンク青山店』入社
1981年 東京芝、老舗レストラン『クレッセント』柳正司氏のもとでスーシェフとして入社
1986年 『ピラミッド』にシェフパティシエとして入社
1988年 銀座『ガトー・ド・パリ・ルショワ・和光』(*1)スーシェフとして入社
1991年 銀座『ガトー・ド・パリ・ルショワ・和光』(*1)シェフパティシエに就任
1998年 チョコレートメーカー『ピュラトス』、『ルーツ貿易』のアドバイザーに就任
2000年4月 『サロン・ドゥ・シェフ タケエ』オープン
『ガトー・ド・パリ・ルショワ・和光』は、現在の『和光ケーキショップ』です。

 

 


インタビュー

アイコンの説明:   武江 章シェフ   スイーツ大好き委員会

本日はよろしくお願いいたします。いつも皆さんに聞いてしまうのですが、シェフがパティシエになったきっかけは何ですか?
武江シェフ 学生時代は、スキーヤーやレーサーにあこがれていました。大学に進んでスキー三昧の日々を送りたいと考えていたのですが、父に猛反対されましてね。確かに、高校生になると、プロ世界の厳しさもそれなりに理解していましたので、違う道に進むことに異存はありませんでした。
しかし、これといった目標もその当時なかったので、自分に何が向いているのか迷うわけです。そんな時、デザイナーだった父の友人に相談にのってもらったのですが、ご自分の実感としてあったのでしょうね 「手に職を持っている奴は強いぞ」と諭されて・・・。
手に職と少し範囲が狭まったところで、自分に何が向いているのかを考えてみたときに、親戚の和菓子屋さんに手伝いに行っていたことや、母が作るおやつ作りの手伝いなどが浮かんで・・・。
なるほど、身近でお菓子作りをよく見られていたのですね。
武江シェフ そうかな・・・。母はおやつを手作りしてくれましてね。今のようにおやつ種類が多くなかったし。だから毎日のように学校から帰ると、少しでも早く食べたい一心でおやつ作りを手伝うわけです。だから混ぜたり、こねたりは日常。それに両親共に食いしん坊だったのかな?レストランなどにも連れて行ってもらったり、おいしいお店を教えてもらったり。自然と食べる物に興味をひかれていったと思います。いい思い出です。
なるほど・・・。毎日手作りおやつとは、なんとも羨ましい限りです。お聞きしていると、なるべくしてパティシエになられたように思いますね。ご親戚も和菓子屋さんですし。
武江シェフ 川越にある親戚の家が和菓子屋さんで、中学のときに休みになるとバイトに行ってました。確かに見ているのも楽しかったし、重い物を運んだりすることが多いので、重宝がられたかな(笑)。
では、和菓子屋さんになろうとは思わなかったのですか?
武江シェフ そう、それは迷った(笑)。さすがによく分からないし、和菓子屋のおばさんに相談しましたよ。和菓子と洋菓子どっちに進むのがいいだろうって。そしたら即答で「これからの時代は洋菓子よ」と言われて。その一言で、パティシエへの道が決まったのかな・・・。
そこからはパティシエ道をまっしぐら、ですね。
武江シェフ 迷いはなかったけど、洋菓子の凄さと魅力にはまったのは、東京製菓学校卒業前に行ったフランス研修かな。多分、学校創立以来の最長の研修だったと思いますが、デンマーク、スイス、フランスなど8カ国に20日ほど行き、本場のテクニックや味を知って大きなショックを受けましたね。道具も、作り方も、形も、味もこんなにも違うものなのだと。三角ケーキを主に学んできた19歳の自分には刺激的でしたね。
なるほど、いい時期に世界をご覧になったのですね。その後ドンクに入社されていますが・・・。
武江シェフ ご存知のように「ドンク」はパンも有名なお店。ですから製造もフランスパン部、ペストリー部、パティスリー部に分かれていて、私はそのパティスリー部に入りました。夏には軽井沢店にも派遣され、今ではありえないような経験もたくさんしましたよ。
えっ、どんなことですか?
武江シェフ 当時は、ananやnonnoなどの雑誌がはやり、別荘を持つ人以外の旅行客がどっと増えた時期で、お客さんは多く、忙しかった。でも、厨房は本店のようにそれぞれの部署ごとに分かれていないので、時間で分業するわけです。当然、焼き立てを出さないといけないパンは早朝から仕込みをするので、私たちパティスリーは夕方に出勤し、真夜中に仕事して早朝帰るわけです。まさに昼夜逆転生活。それでも、出勤前にテニスしていましたから、体力ありましたね当時は・・・。
さすがスポーツマン。タフですね・・・。他にもありますか?
武江シェフ そうですね。忘れられないのは、珍しく軽井沢を直撃した台風一夜のことですね。ものすごい嵐で、窓ガラスは割れる、吹き込む風で店もガタガタ揺れる、停電で作業がストップする、などなど、とてもケーキやパンを作る環境ではない状況で、サバイバルなお菓子作りをしたことはよく覚えていますね。ベーカリーはオーブンが使えず、過発酵してしまい、泣いていましたよ。それからも停電はよくありましたが、あれほどの状況はなかったので、それ以降は「あっ、またか」と慣れたものでしたよ(笑)。
そんな中でも作られたということは、お店は通常通りオープンされたのですよね!すごい・・・。
武江シェフ したした(笑)。朝には台風が通過したからね。
他にもまだあったりして?
武江シェフ あとは、別荘に来ているお金持ちさんが、いきなり店に来て「今日パーティするからここにあるケーキ全部持って来て。」と購入され、売るものがなくなり、店長から出勤前に呼び出されたりなんてこともありましたね。
いるなら、予約しておいてくれればいいのに・・・。
武江シェフ そう、予約してほしかったね(笑)。それにドンク時代は、洋菓子界の革命的事件、ショックフリーザーの登場!!がありました。今はあるのが当たり前になっていますが、ショックフリーザーの登場を契機に、ムースが大流行したり、洋菓子が大きく変わりはじめました。私たちより若手のパティシエは、自然と最新機械に触れていますが、私たちは試行錯誤しながらそれらの使いこなして行くわけですから時間がかかりましたね。あっ、時代を感じますか?(笑)
いえいえ、逆に新鮮で楽しいです(笑)。さまざまな経験をされたドンクのあとの、『クレッセント』に移られていますが、こちらはレストラン、また違ったエピソードが・・・。
武江シェフ 期待してもそんなに面白いことは出ませんよ(笑)! 私が入ったのは、ちょうど『クレモンフェラン』の酒井さんと『パティスリータダシヤナギ』の柳さんがシェフパティシエの交代をされる直前でしたね。
『クレッセント』のお客様は、企業のトップの方がほとんど。ときに、皇室の方がお見えになり、その時は、赤じゅうたんが敷かれるので、すぐに分かりました。非日常的なことが、日常的に繰り広げられていたのかな?厨房内にいる我々にはあまり関係がありませんでしたけど・・・。
緊張しそうですね!!話は変わりますが、レストランデザートは、お店で売られるケーキと大きく違うとよくお聞きしますが・・・。
武江シェフ そうですね。持ち運びがない分、デセールは固めるためのゼラチンなどの材料を極限まで減らせるし、温度差のある物を合わせることもできるので、作れる物の幅がぐっと広がります。その分想像力が豊かになったと思いますね。
なるほど・・・。その後、『ピラミッド』、『和光』でシェフパティシエを勤められていますが、シェフの苦労も多いのでしょうね?
武江シェフ 初めてシェフパティシエになった『ピラミッド』では、本当に何でもやりましたね。製造はもちろんですが、配達も、もちろん経理もしました。色々大変なこともありましたが、自分の店を持った今になっては、この時の経験がとても役に立っていると思います。
『和光』はいかがですか?
武江シェフ 『和光』は、前々回に出られている片山シェフの下で1年やらせてもらってからシェフになりました。こちらは逆に「どんなに高い物を使ってもいいから好きにやりなさい」という太っ腹な会社だったので、逆に戸惑いもありましたね。自分のカラーを出しながらも“和光”らしい上品なケーキを作らなくてはなりませんから。
大変そうですね。
武江シェフ いい意味での刺激はありましたよ。たとえば1000円のプティガトーを作っても、上の人たちがOKを出せば販売されるし、お手頃でも駄目なものは駄目。自分が納得していても、周りが納得しないといけない、客観的に自分の作った物を見られるのはいい勉強でした。
でも、ときには、フランスに出張し、一流レストランに行って色々食べ、勉強させてもらう機会などもありました。その後のレポートや、それを経験した後に出す新作へのプレッシャーなどもありましたが、いい経験でしたね。
レポートなどは気が重そうですが、でも、一流店食べ歩きは羨ましい・・・。
武江シェフ それと『和光』時代に恵まれていたのは、銀座界隈のお店でシェフをしていた仲間に恵まれたことです。仕事の後に、食事をしたことなどは本当にいい思い出です。この時の仲間や後輩も、今はそれぞれに店を持って活躍していますが、今でも強い絆で結ばれていますね。最近も食事会をしたのですよ。
羨ましいです。本当に楽しい、素敵なお話をありがとうございました。まだまだお話をお伺いしたところですが、そろそろ次回ご登場いただくシェフをご紹介いただけますか?
武江シェフ では、先程お話した銀座時代の仲間で、当時、資生堂パーラーのシェフをなさっていた『オ・グルニエ・ドール』の西原金蔵シェフをご紹介します。
本でよく拝見しております。一度はお店に伺いたいと願っていたのでうれしいです。お目にかかるのが楽しみです。ありがとうございました。
武江シェフから西原シェフへのメッセージ
これからも公私ともどもよろしくお願い致します。
サロン・ドゥ・シェフ タケエ
おすすめスイーツ

2006/4現在
正面から時計周りに、
カカオ70%のビターチョコレートムースにフランボワーズジュレを閉じ込めた新作“クリオロ(420円)
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個包装のクッキー類も人気。詰め合わせしたギフトパッケージもある。
色々な焼き菓子が詰め合わせされたギフト。大切な人への贈り物に最適。
手土産に持参したい賞味期限の短い、ソフトな焼き菓子類。
焼き色の美しいマドレーヌやフィナンシェなどもぜひ試したい。
アップルパイやタルトタタンなど、季節ならではの商品も目がはなせない。
カラフルなマシュマロは、いちじく、苺、カシス風味。
手作りのコンフィチュールはちょっとしたお礼などに最適。
食べた後の箱を残しておきたくなるようなギフトBOX入りの焼き菓子。

ショップ情報

サロン・ドゥ・シェフ タケエ

  • TEL:03-3305-3361
  • 住所:東京都調布市仙川町1-24-1仙川アベニュー
  • 営業時間:10:00~19:00
  • 定休日:水曜日・第3木曜日
  • 店内に喫茶スペースはありませんが、向かいのお花屋さん『ナトゥーラ』の喫茶店にケーキの持込みが可能。希望する場合は、お店の方にその旨を伝えてください。ただし、木曜日は定休日なので、すぐに食べたい方は要注意。

アメリカン・ナッツカフェ

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