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パティシエと職人の素顔パティシエと職人の素顔 洋菓子編7 エコール・クリオロ

24歳で来日した当初は、フランスと日本の洋菓子の違いにおおいに戸惑ったというサントス・アントワーヌさん。それまでの自分のお菓子をいったんゼロにして日本の味を取り入れ、現在は新しいサントス・スタイルのフランス菓子を提案。ショップには和素材を取り入れた斬新な切り口のチョコレートやケーキが並び、毎回、新作菓子を学べるスクールも大人気です。フランスと日本の幸せなマリアージュを表現しつづけるサントスシェフにお菓子への思いを聞きました。

[2008年2月号]

経歴&インタビュー

サントス・アントワーヌさん

<サントス・アントワーヌさん経歴>

1969年
フランス・プロヴァンス生まれ。
1985~1989年
「モジェニエ」「パティスコル」などで修行。
1989年
「レドレーヌ」(MOFフィリップ・スゴン氏の店)でアントルメのシェフ・パティシエをつとめる。
1992年
コンクール「シャルル・プルースト」優勝。同年よりホテルインターコンチネンタル(ロンドン)のレストラン「ルスフレ」でシェフ・パティシエとして働く。
1994年
来日。京都で関西地域店舗向けにレシピ開発、技術アドバイザーを行う。
1995年
「ヴァローナ・ジャポン株式会社」に入社し東京へ。日本各地で技術指導を行い、シェフ・パティシエとしてレシピ開発、講習会を担当する。
1999年
独立し、コンサルタント活動を行う。
2000年
菓子学校「エコール・クリオロ」を設立。
2003年
パティスリー「エコール・クリオロ」をオープン

来日のきっかけを教えてください。

フランスで飴細工を作る時、生け花の本を参考にしていたんです。日本の生け花はバランス感覚がすごくいいんですね。それで、もっと生け花を学びたいと思って、日本に行く決心をしたんです。日本大使館でビザを取ろうとしたら、日本に行くなら英語ができなければいけないと言われて、わざわざイギリスで1年間、語学を勉強したんですよ。

サントス・アントワーヌさん 日本でもお菓子の仕事をするつもりだったので、京都で職場を見つけました。せっかくフランスから来たので、最初は会社の方でも「サントス・フェア」をやったりして人気があったんです。しかし、そのうちに自分の作るお菓子がいつもショーケースの中に残るようになった。当時はフランスとまったく同じレシピで作っていたので、それが受け入れられなかったんですね。私は自分の仕事に自信がありましたから、すごくショックでした。

フランスのお菓子というのはスポンジが薄くて、ナパージュをかけて、生クリームがほとんどないんです。大切なのは、まず見た目がキレイであること。フランスではキレイなお菓子が売れます。ところが日本は「見た目がおいしそう」というのが大事なんですね。ですからキレイで、さらにおいしそうなお菓子なら最高なんですけどね。

フランスでやってきたことが認められないのは辛いですね。

そうです。辛かった。今までフランスでずっと勉強してきたことは何だったのかと思うと、何回かベッドの中で泣きました。まだ日本語も日本文化もわからなくて、いつも不安な気持ちが強かったですし。でも売れないお菓子を作っても意味がないので、自分が持っていたレシピを全部捨てたんです。いったん自分のタイマーをゼロにもどした。そうしないとやっていられなかったんです。

サントス・アントワーヌさん 京都で1年働いた後、今度は東京で仕事をしながら、少しずつテストを重ねて、新しいレシピを作っていきました。その時は奥さん(現在はショップ店長&シェフの右腕として活躍している岡田愛さん)が助けてくれた。彼女はもともとソムリエで料理やお菓子に関して、昔から興味があったんです。作ったものを食べてもらって「日本人ならもっとしっとりしたものが好き」「スポンジは厚みのある方がいい」とか、どんどんアドバイスをもらった。そのうち私の考え方や舌も変わってきたんです。たとえばフランス人は「フグの刺身は味がないからイヤ」と言う。いっぱい醤油をつけて食べたりね。でも日本人は「ちゃんと味がある」と言う。すごく繊細なんです。そういうことがわかってきて、私は自分の頭の中にあったものを一度全部捨てて、新しいものに入れ替えた。自分を何も変えないというのでは頭が固すぎて、日本には合わないです。結局、新しい自分を作るまでに4年くらいの時間が必要でした。

最初にお菓子の学校を開校し、次にショップを開店。そのいきさつを教えてください。

サントス・アントワーヌさん 実は4年ほど会社で働いて、すごくストレスが溜まってしまったんです。それで十分、日本で頑張ったから、もういいだろう。奥さんと一緒にオーストラリアに行って小さな店でも開こうと思い、すっかり準備をしました。ところが出発2週間前にバイクの大事故で2人とも大ケガをして、1カ月半も入院することになってしまったんです。これでオーストラリアにも行けない。退院してもアパートはない、仕事はない、もうなんにもないんです。でも入院中に120人くらい友達が来てくれて、「せっかく日本語もわかるし、日本にいなさい」とみんなが薦めてくれた。それで最初はコンサルタントの会社を作って、次に小さなアトリエでお菓子の学校を始めたんです。すると、どんどん生徒さんが増えて。嬉しかったですね。

特に学校をやったということが、私にとって一番大きな経験でした。生徒さんが失敗すると、私はそこから勉強できる。そして次は失敗しないように技術を改良していきます。失敗しないガナッシュの作り方とか、いろいろ考えて今も生徒さんに教えていますし、『お菓子づくりでまよったら』という本も書きました。だから多分、学校をやっていなければ私の技術レベルは今より、もうちょっと下だったかな(笑)。

サントス・アントワーヌさん あとは毎月、新しいお菓子を準備して教えているので、それも勉強になります。うちの教室は1年コースとか、そういう形は取っていないので、6年前から来ている生徒さんでも同じレシピは持っていない。それは大変なことですけど、お客さんはすごく喜んでくれます。また私は日本の食材もいっぱい使うんです。サツマイモ、黒蜜、抹茶、生姜、お酢、それにわらび餅とか。日本人シェフには新しくないかもしれないけれど、私はフランスにいた頃は使わなかった素材だから、すごく新鮮なんですね。そして私にとって一番のプライドは、どのお菓子も全部、自分のレシピだということ。フランスから持ってきたレシピはすべて捨てて、ゼロから創りあげた自分だけのレシピなんです。

実は最初の頃、私はショップをやるつもりはなかったんです。もう学校だけでいっぱいいっぱいで。しかし奥さんが「あなたのお菓子はとてもおいしいから、お店をやってみんなに食べてもらおう」と言って、2003年にパティスリーを開いた。最初は3人だったスタッフが今は50人もいます。今後はできればお店をもう1店舗、作りたいです。やはり新しい挑戦をして、自分自身をどんどん変えていかないと成長できない。すごく大変だけど、楽しいことでもあるんです。

おすすめ商品

  • オレンジ・ショコラ
    オレンジ・ショコラ

    [480円(税込)]

    ミルクチョコレートのムースの中に、オレンジクリームとオレンジのコンポート入り。軽い甘さとフルーティーなテイスト、オレンジの食感も楽しめる爽やかなケーキ。コーヒーにも紅茶にもぴったり合う。

  • カラメル・ショコラ
    カラメル・ショコラ

    [480円(税込)]

    フォークを入れると中からとろりとキャラメルソースがあふれ、ムースショコラと合わせて口に運ぶと幸福感いっぱいに。チョコレートの濃厚なテイストが楽しめる手の込んだ逸品。チョコ大好きの人にぴったり。

  • じゃぱにぃずせっと
    じゃぱにぃずせっと

    [8個入り 2,100円(税込)]

    サントスシェフが得意とするチョコの分野で和のテイストを取り込んだ人気商品。生姜、柚子、山椒、抹茶、七味、シークワーサーの風味でヴァレンタインにもぴったりだ。特に七味のピリ辛味はクセになりそう。

お店の詳細


エコール・クリオロ

  • TEL:03-3958-7058
  • 住所:東京都豊島区要町3-9-7
  • URL:http://www.ecolecriollo.com/
  • アクセス: 東京メトロ有楽町線千川駅より徒歩2分
  • 営業時間: 10:00~19:00
  • 定休日: 火曜・第3水曜
  • MAP

アメリカン・ナッツカフェ

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