TOP業界人インタビュー >ラ・テール洋菓子店

パティシエと職人の素顔パティシエと職人の素顔 洋菓子編3 ラ・テール洋菓子店

太陽に土、雨と風、そして自然の恵みで命をはぐくむ植物と生き物たちが創り出した安全、安心の食材。ラ・テール(大地)という名前の通り、素材選びに徹底してこだわったお菓子作りで知られる「ラ・テール洋菓子店」を訪ねると、ココロにも体にも優しいスイーツを楽しみに通うお客様でいっぱいでした。

「僕は3つのキーワードを作ったんです。素材、鮮度、旬。日本の風土を大切にしたお菓子をやりたいですね」と語るアルティザン・中村逸平さん。開店から満9年。ナチュラルスイーツの老舗「ラ・テール」ならではの菓子作りの神髄をうかがいます。

[2007年6月号]

経歴&インタビュー

中村逸平さん

<中村逸平さん経歴>

1946年
石川県七尾市に生まれ、新潟県で育つ。
和菓子屋で修行しながら夜間高校を卒業。
1970年
上京し「新宿中村屋」へ入社。
夜間大学で教職課程を取りながら、洋菓子部門で働く。
1995年
「新宿中村屋」を退社。
1998年
世田谷区三宿で「ラ・テール」をオープン。

中村シェフはなんと小学生の頃からお菓子作りに関わっていたとか。

お菓子屋さんというのは子どもでもできる仕事があるんですよ。卵を割ったり、天板を拭いたり。近所の和菓子屋さんにそういうお手伝いをすると1日幾らかもらえて、そのお金を親にあげると喜んでもらえる。僕らが子どもだった昭和32、3年頃はそうやって家計を助けるのが当たり前だったんです。 その後もずっと和菓子の世界で働いてきましたが、僕の中には学校の先生になりたいという希望がありました。夜間大学に通いながら勤められる菓子屋はないかといろいろ調べたら「新宿中村屋」がたいへん教育熱心な企業だった。それで新潟から上京して入社しました。この時、夜学に通うために勤務時間の都合がいい洋菓子部門の配属になったんです。これが洋菓子に入るきっかけでした。

中村逸平さん そして無事に教員免状は取れたのですが、当時は教員採用が厳しくて就職は難しかったんですね。また洋菓子の現場で働くうちに、今までにはないお菓子の新しい世界が少し見えてきたんです。洋菓子だから洋の材料でなければいけないというのでなく、日本の風土にはぐくまれた素材を上手に洋菓子の世界に生かしてゆくこともできるだろうし、和菓子のように四季の移り変わりに合わせたものを作れるんじゃないかな、と。それで、やっぱり僕は菓子屋に縁があったんだと思って30歳を過ぎた頃に決心したんです。もう浮気はしないで菓子一筋で行こうとね。

「ラ・テール洋菓子店」をオープンしたきっかけは?

当初は現場での菓子作りと販売に関わっていたんですが、その後、本社に戻って開発関係の仕事をするようになったんです。しかしお客様の顔が見えない仕事は寂しく、また今までやってきたことと違うなと思ったんですね。それで一大決心をして49歳で会社を辞めて独立しました。僕はいつも「始めるに遅いはない」と思っているんですよ。ヨーロッパで勉強してコンテストで優勝するなどのエリートコースではなく、僕みたいに和菓子から入ってどさ回りしながらやってきた中で自分の世界を作るというのがあってもいい。そして今までの延長ではない、新しいお菓子屋さんはなんだろうと考えたとき「ラ・テール(大地)」という言葉が出てきたんです。日本の風土を大切にした安心・安全なお菓子を作りたい。それで僕は3つのキーワードを作ったの。素材、鮮度、旬。どんな名人が作ったお菓子でも素材がよくないとだめですからね。たとえば僕は生クリームの中にバニラは入れないんです。ちゃんとしたフレッシュを使えば牛乳が本来持っているミルクフレーバーがあるのだから、それを消す必要はないんです。またできるだけ添加物は使いたくないし、ベーキングパウダーも使わないで済むものには使わない方がいい。静菌剤も脱酸素剤も入っていないから賞味期限の短い商品がいっぱいありますが、できるだけあるがままに素材が伝わってくるお菓子を作っていけたらいいなと思うんです。

今後の「ラ・テール」はどんな方向へ進んでいくのでしょう?

中村逸平さん 素材に関しては一般の流通にのる商材だけでなく、できるだけ自分たちで生産者を探していきたいと思っていたんです。そんな考えを発信しながら一生懸命仕事をしていると、逆に情報がどんどん入ってきていい農作物に出会えたり、いい人に出会えたりするんですね。たとえばうちでは山梨県黒富士農場から自然放牧卵を仕入れていますが、その仲間の中においしくて安全なフルーツを作る人たちがいて桃やサクランボを入れてもらったり、山形からは無農薬有機栽培のベリー類、熊本からはアップルマンゴが届く。不思議と素晴らしい素材が集まって、いいネットワークができていくんです。

もちろん店をやっていくのは大変です。今でも朝8時半から夜9時まで店にいて女房と会話する暇もない(笑)。ただやっていることは間違っていないと実証されたし、お客様に喜んでもらえるのがなによりです。今後はアレルギーのある方や高齢のお客様向けのお菓子も手がけていきたいと考えているんですよ。和の素材をうまく取り入れながら、楽しく食べて体に優しいものを作っていけたらいいなと思います。

おすすめ商品

  • 酪円菓(らくまどか)
    酪円菓(税込)

    [189円(税込)]

    国産小麦粉、オーガニックシュガー、放牧自然卵で焼いたスフレタイプのふんわり生地に北海道産の生マスカルポーネを挟んだフレッシュな逸品。

  • 大地のプリン“ウ・オレ”
    大地のプリン“ウ・オレ”

    [294円(税込)]

    放牧自然卵の黄身、低温殺菌のジャージー牛乳、オーガニックシュガー、オーガニックバニラビーンズというシンプルかつ完全な材料で作られた滋味あふれるプリン。

  • ムースあんみつのデザート
    ムースあんみつのデザート

    [399円(税込)]

    寒天、小豆、白玉という和の素材にバニラムースと若桃を添え、生姜が微かに香るシロップをかけたケーキ屋さん流のオシャレあんみつ。

お店の詳細


ラ・テール洋菓子店

  • TEL:03-5486-5489
  • 住所:東京都世田谷区池尻3-27-10
  • URL:http://www.laterre.com/patisserie/
  • アクセス:東急田園都市線池尻大橋より徒歩8分
  • 営業時間:10:00~20:00
  • 定休日:年中無休
  • MAP

アメリカン・ナッツカフェ

メルマガ登録・解除