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パティシエと職人の素顔パティシエと職人の素顔 洋菓子編5 アニバーサリー

かつてイミテーション全盛だったウェディングケーキを、職人手作りの生ケーキにしたいという熱い思いで専門店「アニバーサリー」を開いた本橋雅人シェフ。まさに日本発オリジナル・ウェディングケーキのパイオニアともいうべき存在です。

「ふたを開けたとき、わっと驚きがあって、感動があって。そういうものを追求したくてケーキ作りを始めて、それがエスカレートしてウェディングへ行っちゃったんですよ」

一生に一度の思い出を創るアニバーサリー・ケーキへの思い、そして「人がやっていないことをやりたい」という本橋シェフならではパワフルなライフスタイルを聞きました。

[2007年10月号]

経歴&インタビュー

本橋雅人さん

<本橋雅人さん経歴>

1958年
埼玉県生まれ。
1984年
高校卒業後、「スリジェ」「マルメゾン」を経て銀座「カフェブラン」でチーフパティシエになる。
1990年
目黒区東山にウェディングケーキ専門店「アニバーサリー」をオープン。
1994年
港区南青山に店舗を移転。

お菓子の世界に入られたきっかけを教えてください。

普通、この世界は製菓学校などを卒業してから入ります。でも自分の場合、高校時代は全国大会を目指すような強豪校でラグビーをやっていたんです。卒業後は大学ラグビーとか教員とか、そういう道がある程度決まっていました。しかし卒業間際になって、突然、決められたレールに乗るのが嫌になってしまったんですね。何か自分の力で切り開いていくものはないか。そう考えたら、たとえば寿司などの職人の世界しかないと思ったんです。
そんな中でケーキだけは唯一、楽しい時、嬉しい記念の時に食べるものですね。同じやるなら楽しい時に使っていただくものをやりたいし、その中で自分の力を試したかった。それで菓子職人の道を志したんです。

どらやき ただ、まるっきりお菓子のことを知らなかったので、当初は大変でした。現場は専門学校卒の人が大勢いますから専門用語が飛び交うし、中にはフランス語を使うこともある。早く追いつかなければと、その頃は常に焦った気持ちで働いていました。夜、寝る時は枕元に専門書が必ず数冊は転がっていたし、バラの花弁の細工を勉強している時には、電車の切符を花弁の形に曲げてしまって改札を通れなかったり(笑)。常に頭の中はお菓子作りのことでいっぱいだったんです。

ウェディングケーキを専門にしようと思った理由は?

「スリジェ」「マルメゾン」という名店で約5年間修行をさせていただいた後、26歳という年齢でチーフパティシエになったんです。当時は自分の技術に自信があって、名店で教わったケーキを作れば間違いないだろうと思っていました。ところがことごとく売れないのです。
始めは自分のせいではなく、お客様の理解がないせいだと思っていました。でもよく考えてみれば、それぞれのお店が築き上げたレシピを自分はただ引き継いだだけなんですね。一生懸命にレシピを生み出し、愛情を持って育てた――そういう経験がないまま、単にレシピ通りのケーキを作ってもダメだったんです。教わったものの上に自分らしさを加えることによって、もっと深みを出すことができる。チーフをやったおかげで気づいたことです。

谷口拓也さん それである日、いったんショーケースのケーキを全部やめてしまって、すべて手のひらサイズのデコレーションケーキに変えちゃったんです。5センチくらいのバースデーケーキを作ったり、それを2段、3段に重ねてミニチュアのウェディングケーキを作ったり。それぞれに、いろんな花のモチーフを飾り付けたら「すごく面白い!」というご意見をたくさんもらって、新聞や雑誌にも取り上げられたんですね。

やはり自分はこういうケーキが天分なのかと思い、ウェディングについていろいろ調べてみたんです。すると当時、ホテルや式場ではイミテーションケーキを使い、みんなもそれが当たり前と思っていました。でも結婚式という大切な場で偽物を使っているのは世界でも日本だけ。式場側の都合で簡単にできるからそうなってしまったんです。しかし本来、記念のケーキはそうじゃないはずだと思い、ウェディングケーキを専門にした店を開こうと決心したんです。 記念日に食べるケーキは箱をあけた時から、わっと驚きがあって、感動がある。そういうものを追求したくてケーキ作りを始めていますから、それがエスカレートしてウェディングケーキへ行きついてしまったという感じなんです。

新しいお菓子の分野をどう開拓しましたか?

最初は注文など全然ないですから、まずは二次会用ケーキを作りました。そのうちに花嫁さんから「ウェディングケーキを手作りしたいので教えて欲しい」という声をもらったんです。当時は手作りケーキなら式場に持ち込むことができたので、教室をやってみたら大変な評判でした。さらに、その頃から流行りだしたハウスウエディングでも注文をいただき、だんだんとホテルや式場でも受け入れてもらえるようになりました。今では多い時で1日に100台のケーキを作っています。

谷口拓也さんデザインに関しては毎年新しいものを取り入れていますし、最近ではフルーツを使ったり、モンブラン、チョコなど味のベースもバリエーションが増えています。また新郎新婦の共通の趣味をケーキで表現する人が多くて、たとえばサッカーのフィールドをケーキで作ったりもします。どんなリクエストでもお答えするのが職人ですから、運搬に無理がないものに関しては、なんでも引き受けています。

谷口拓也さん 青山店に移ってからは「食べてシンプルにおいしい」という生ケーキを小さいショーケースで扱っています。店内でケーキとコーヒー、会話を楽しんでいただいて、最後に「ああ、おいしかったね」と感じるシンプルな味です。また、ここ2、3年かけてスイーツテテラピーという分野を勉強しているんです。小麦粉ではなく米粉を使ったり、砂糖の代わりに羅漢果を使うなど、低カロリーで体によいお菓子を追求していて、ようやくクッキーやシフォンケーキなどの商品ができはじめているところです。しばらくは、こちらの方に専念したいと思っているんです。

ウェディングケーキの時もそうでしたが、誰もやっていないことに挑戦するのがすごく好きなんです。もちろん新しいことを始めると、形にするまでは本当に大変です。なにもやらないほうがラクだけれど、なにもやらない所から発見はあり得ない。やることによって、初めて学ぶものがあるんだと思っています。

おすすめ商品

  • ショートケーキ
    ショートケーキ

    [420円(税込)]

    ひとつひとつ抜き型で丸くぬいて、生クリームで美しいデコレーションをほどこしてある。「アニバーサリー」を代表するケーキ。

  • プチデコレーション
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    [1575円(税込)]

    直径8センチながら本格的なアニバーサリー用のケーキ。イチゴのピュレ入り生クリームで愛らしいピンクに染まって、ふたりの特別な記念日にぴったり。

  • 玄米と和三盆のショートブレッド(白)黒五のショートブレッド(黒)
    玄米と和三盆のショートブレッド(白)
    黒五のショートブレッド(黒)

    [各577円(税込)]

    米粉や玄米などを使った、滋味あふれるショートブレッド。さくっとした歯触りで、口の中にスッと溶けていく逸品。

お店の詳細


アニバーサリー

  • TEL:03-3797-7894
  • 住所:東京都港区南青山6-1-3 コレッツィオーネ1F
  • URL:http://www.anniversary-web.co.jp/
  • アクセス:東京メトロ銀座線、千代田線、半蔵門線表参道駅より徒歩5分
  • 営業時間:11:00~19:00(火曜のみ11:00~18:00)
  • 定休日: 月曜
  • MAP

アメリカン・ナッツカフェ

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